来年度の公的年金額の改定で、3年ぶりに給付を抑制する措置(マクロ経済スライド)が実施される公算が大きくなった。物価上昇を受け、年金額は引き上げられる一方、物価上昇ほどは伸びず、実質的な価値は目減りする見通しだ。物価高騰が続くなか、年金生活者の家計は厳しさを増しそうだ
 
公的年金の支給額は、物価や賃金の動きに応じて毎年度改定される。その主要な指標の一つが全国消費者物価指数(生鮮食品を含む総合指数)で、総務省が18日、10月分を公表した。
 
それによると、10月は前年同月より3・7%上昇。今年1月以降をみても上昇幅が広がっており、年間でも大幅なプラスとなりそうで、年金額も3年ぶりに「プラス改定は確実」(政府関係者)な情勢だ。
 
ただ、公的年金では、支給額を抑える「マクロ経済スライド」という仕組みを2004年に導入している。将来世代の年金が下がりすぎないよう、平均余命の伸びなどにあわせて自動的に減額する。物価や賃金がマイナスとなる局面では適用されず、今年度まで2年連続で実施されなかった。大幅な物価高に伴い、この抑制措置が3年ぶりに実施される見込みだ。(2022年11月19日 朝日新聞)
 
※これほどの物価上昇では、多少のプラス改定内容は吹き飛んでしまうだろう。年金主体の生活設計が根底から崩れはじめている。