誤って多く納め過ぎるなどした国民年金保険料を返納する過誤納金保険料の還付制度で、対象者に普通郵便で通知を送付しているため、対象者が通知に気づかず、時効(2年間)が適用され還付が受けられないケースがあることが13日、分かった。到達が確認される書留などで送っておらず、制度の「盲点」が露呈したといえる。実際に還付を受けられなかった人は「知らない間に勝手に時効が適用されるのはおかしい」と訴えている。

 日本年金機構は取材に対し、保険料の過誤納金は平成29年度に約100万件、総額約500億円あることを明らかにした。1件当たり平均5万円。過去に通知書の作成誤りや誤送付が、把握している分で約20件あることを認めたが、時効適用で還付の権利が消滅した件数などについては「把握していない」という。

 国民年金法では、納め過ぎた保険料の還付を受ける権利は「国税徴収の例」を適用。同法で消滅時効を「2年」と定め、短期であるのは「大量の事務を迅速な処理で図る趣旨」と解されている。

 年金機構によると、対象者が権利を取得したときから時効が適用されるまでに、還付通知書を普通郵便で2~4回通知している。少なくとも機構が設立した22年には始まっており、機構は「普通郵便が原則であり、マイナンバーが記載されている場合にのみ追跡可能な郵便(書留など)で送付している」という。
(2019年5月13日 産経デジタル)